これは今からずっとずっと昔の話。
一人の女と男のお話。女はユダヤ人だった。いつ命を狙われるか分からない時代。こじんまりとした地下の隠れ家の酒屋で踊り子として沢山の仲間を励まし勇気を与え続けていた。そしてそこへ1人の見慣れぬ男が現れる。背がすらりと高く通った鼻筋。目は人を殺せるのでは無いかと思うほど冷たい鋭い目。その男はナチス・ドイツの軍人だった。その姿を偽りユダヤ人の隠れ家である酒場へふらり、と現れたのだった。初めはユダヤ人を油断させ信用させ殺せという命令だった。勿論男も其のつもりだった。しかしその女の踊りに惚れ何時しか常連のように通い続け情を湧かせるほどにその女に好意を寄せていた。
そんな交わることもない2人が出会う物語。